日本的祈りの空間
I. 聖堂内
座席数80ばかりのこの空間は、当教会で一番小さな聖堂です。小ささの中にも、日本的霊性をふんだんに取り入れた、わたしたちの教会自慢の聖堂です。この小さな聖堂を舞台にしたドラマもあります。
聖堂の名前はザビエル聖堂。日本へキリスト教を伝えたザビエルから名前をもらいました。なぜこの場所が日本的空間(日本的霊性)...なのでしょうか?
①「光」
聖堂に一歩足を踏み入れると、まず西向きの採光窓が目に入ります。
窓から射し込む光は、まず聖堂の外と内を繋ぐ池の水を照らします。
池から反射した光は、壁そして天井へ…と、柔らかく波紋状に広がっていきます。
この美しい天然のステンドグラスは、季節や時間毎にその表情を変え、見る人を飽きさせません。
②「水」
聖堂には内と外をつないでいる池があります。
東洋の陰と陽を思わせる静謐な佇まい。
池の内側には、とめどなく永遠に湧き出る泉が。
よく耳を澄ますと、泉から流れ出る水音が聴こえてきまんか?
さて...なんの音でしょう?(ヒント: ヨハネ4章)
「永遠に湧き出る生命の水、生ける水。これを飲んだものは渇くことがない...」
一方で「ししおどし」や「手水」のような流水音を愛でる日本的美意識の文化を汲んでいるのでは…とも言われています。
③「自然の素材」
日本的精神性とは、侘び寂びの空間に宿る...壁は「わらすさ」を混ぜた、素朴な土壁。これは、千利休が建てた国宝「待庵」に使用されているものと同じです。
また、この空間に入ると不思議に、落ち着きを感じませんか?
その要素の1つに「直線のない空間」というキーワードがあります。この聖堂内の壁にはどこにも直線がなく、やわらかな曲線で囲まれています。
まるでお母さんの胎内にいるような安らぎを感じながら、祈りに集中できるのも、この聖堂の魅力の1つです。
④ 十字架の道行
十字架の道行とは、イエスの受難を思い起こし黙想や祈りを行う、カトリックの信心業の1つ。
漢字1文字で巡る、*とても珍しいスタイルの十字架の道行きです。ドイツのブラザーの作、木彫りの彫刻で出来ています。
この十字架の道行は聖ヨハネ・パウロⅡ世が薦めた聖書に沿ったもの*で、ゲッセマネの祈りから道行の物語がはじまっています。
第二留 捕 イエス、裏切られ、逮捕される
第三留 宣 イエス、死刑を宣告される
第四留 否 イエス、ペトロに否まれる
第五留 裁 イエス、ピラトに裁かれる
第六留 冠 イエス、侮辱され、茨の冠を受ける
第七留 架 イエス、十字架を担う
第八留 婦 イエス、女たちに語る
第九留 釘 イエス、十字架につけられる
第十留 盗 イエス、盗賊に天国を約束する
第十二留 死 イエス、十字架上で息を引き取る
第十三留 墓 イエス、墓に葬られる
第十四留 甦 イエス、復活する
*1: 十字架の道行はどの教会の聖堂内にもあり、通常は人物像を描く絵画や彫刻のスタイルで語られるのが一般的です。
ll. ザビエル聖堂入口
①聖イグナチオ像
入口左の像は、スペインから贈られた聖イグナチオ・デ・ロヨラの像です。
毎年7/31の祝日には、主聖堂祭壇に飾られます。
▶聖イグナチオについて
②聖遺物
聖像の右には、イエズス会を創設した8人の聖人の聖遺物があります。
聖遺物とは?
聖人の遺体もしくはその一部...毛髪、爪、血痕などのを指します。
それだけではなく、聖人が生前使用したり触れたもの...衣服、布、香油、花など墓に
関わるもの等も聖遺物に含まれます。
2019年の献堂20周年記念に、イエズス会総長アルトゥール・デ・ソーサ神父の祝福を受け、ここに安置されました。
イエズス会創設の同志たち
1 聖イグナチオ・デ・ロヨラ
2 聖フランシスコ・ザビエル
3 聖アロイジオ・ゴンザガ
4 聖フランシスコ・デ・ポルハ
5 聖スタニスラオ・コストカ
7 聖ペトロ・クラベル
8 聖ヨハネ・ベルクマンス
③ザビエル城
入口右側の壁の絵はザビエル城の画。
ここは、聖フランシスコ・ザビエルの生まれ育った城です。
ザビエルは1506年、スペインバスク地方のアスピルクエタ家の代6子としてザビエル城で生まれました。その後イエズス会創設メンバーの1人となり、聖イグナチオ・デ・ロヨラにより日本に派遣されたのです。